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従業員にとって良い会社の見分け方1 総論

2021年6月29日

皆さんは、学生時代、就職活動の際にどのような観点で企業を選びましたか?

 

「がっぽり稼げる」

「裁量が大きくて成長できる」

「しっかり休めて趣味も充実できる」

「産休や育休が取りやすい」

いろんな視点があろうかと思います。

 

ちなみに私は新聞記者になりたい!という気持ちが強くて、新聞社だったらどこでもいい、というような雑な就職活動をしてしまいました。

 

ある程度の歳を重ね、経験を積んで思うのは、少し冷静になって、良い企業かどうかをジャッジするかしないかは大きな差になるな、という点です。

これは新卒採用のみならず、中途採用も同じではないでしょうか。

 

労働者・従業員にとって、良い企業とはどういうことなのかについて、考えをまとめてみようと思います。

 

■利益を生み出し続けられない企業に存在価値なし

企業分析のような仕事をしていると、何をもって「いい会社なのか?」という良さを測るための定規を考えさせられます。

 

おそらく、誰がどうみても定規として通用するのが「利益を生み出す力」ではないでしょうか。

 

ここでいう利益とは、ざっくりいうと、お客様にモノやサービスを提供して得たお金から、そのモノやサービスを生み出すためにかかった費用を差し引いた、会社の事業活動の成果くらいの理解でお願いします。

この辺の会社のお金にかかわる概念を理解することはとても大事なので近いうちに別途解説します

 

この生み出した利益があるからこそ、従業員に給料を払うことができ、株主に配当を払うことができ、国・地域に税金を払うことができ、残ったお金で自分磨き(投資)をして、さらによりよい製品・サービスをお客様に提供できるようになるわけです。

 

そして、お金を稼ぐにしても、たまたま良かったというような一過性のものではなく、安定していないと良い会社とはいえません。

今年は10億円の利益があったけど、翌年は逆に1億円の損失というようなアップダウンが激しい会社よりも、1~2億円を安定して生み出す会社のほうが評価されやすいです。

この辺は銀行からお金を借りるときなどで如実に現れます。

銀行からすれば安定して利益を生み出し続けられる見込みのある会社には安心してお金を貸せるのです。

逆に利益を生み出せない企業は、手持ちの現金や借金でその場しのぎをすることはできても、いずれ取引先に対する材料の代金や給料の支払いが遅れ、行き詰まってしまいます。

 

■社会から必要とされる存在なのか

利益を生み出しさえすればいい会社なのか?といえばそんなことはない、というのが最近の肌感覚ではないでしょうか。

 

というのも、誰かをだましたり、脅したりと違法行為でお金を稼ぐことは許されませんよね。

違法行為スレスレでお客様の無知に付け込むように契約を誘導したり、従業員を酷使して利益を上げるような、「それって会社としてどうなのよ?」と誰かから後ろ指さされるような商売は10年、20年も続かないでしょう。

 

1つはどんなことを商売にしているか、という視点が大事です。

危ういのが、事業の賞味期限が近づいているor過ぎているケース。

典型的な例がフイルム写真ですね。

カメラで撮影した写真を記録する媒体がフイルムからデジタルデータに移行した結果、市場が極小化しました。

フイルム市場の縮小で明暗を分けた例として有名なのが、化学会社に転じて成功を収めた富士フイルムと衰退したコダックです。

 

事業の賞味期限が到来するスピードは業種によってまちまちですが、賞味期限切れが近くなると、

普通にやっても売れないので営業マンを酷使して無理やり売る

→売れないことをごまかすのに不正をする

というコンボが発生することがままあります。

 

将来性というと俗っぽいですが、伸びしろのあることを商売にしているかどうかを見極めることができたらいいのですが、それができたら株取引で大儲けできるわけで簡単な話ではありません(笑)。

 

もう1つ大事な視点が商売の仕方、言い換えれば流儀です。

どんな価値観・流儀を大事にして利益を上げるのか、という意味では、「従業員を家族のように大事にする」であったり、「事業を通じて地域に貢献する」などを掲げている会社もあります。

こういうのはいわゆる「社是」や「企業理念」などで示すことになりますが、こういう価値観・流儀を大事にしなければ、いずれ法に触れなければOKという悪しき文化がはびこります。

 

まあ、言うだけ言って、体現できていない場合もあるのですが、少なくともどう在ろうとしているのかを知り、そこにどこまで近づけているか、は良い会社かどうかの定規になりえます。

 

■従業員・労働者を大事にしているか

最後に、「いい会社」とは誰にとっての話なのか、という忘れられがちなポイントを解説します。

 

会社を取り巻く人々はいろいろいます。

お客様、取引先、従業員、株主・投資家、などなど。

(これらを総称してステークホルダーといいます)

 

お客様にとっていい会社であっても、従業員にとっていい会社であるとは限りません。

同じように株主にとっていい会社であっても、従業員にとっていい会社であるとは限りません。

 

会社がどこを向いているのかを見極めないと大変なことになります。

 

誰を大事にしているかは、前項で書いた「価値観・流儀」と大きく関係します。

この話をすると長くなるので、ヤバいケースの解説を通じて、大切さをお伝えします。

 

・お客様に意識が向きすぎているケース

小売業・サービス業にありがちなんですが、「最高のサービスを最高の価格で」といわんばかりにお客様を崇めすぎた結果、従業員の待遇がおざなりになることがあります。

 

お客様への販売価格を抑えて一定の利益を出そうとしたら、従業員の給料を含めたコストを切り詰めていくことになります。

小売業などはすでに限界近いところまでコストカットが進んでいるといわれ、これをさらに進めようとすれば正社員を含めた人件費をどうにかしたくなります。

 

今、コンビニやスーパーで起きているのはセルフレジ導入による人員の削減です。

これ自体は悪い話ではないですが、いかに人件費を削るか、に執念を燃やしている例としてご紹介しました。

人件費カットという気持ちが暴走すれば、いかに利益を生んでいる会社だろうと従業員にとっていい会社とはいえませんね。

 

・株主に意識が向きすぎているケース

一番厄介なのが、創業者一族が大株主で、会社はもはや彼らを養うための装置と化しているケースです。

こうなると、せっかく利益を生み出しても、大半が株式を持つ創業者一族に吸い上げられたり、とんでもない役員報酬を払ったあげく、従業員への配分は大したことがない、なんてことが起こりえます。

 

そういう意味では、株式を上場している会社ならば問題ないか、といえばそうとも限らないのです。

 

株式上場していて、最もヤバいケースは、ハゲタカファンドが買収のスキームをうまく利用し、買収で必要となったお金を買収先の借金としてしまうケースです。

ある日突然、筆頭株主/オーナーが変わるとともに、会社が莫大な借金をした状態になり、その借金を減らすために利益を上げろとプレッシャーをかけられることになります。

この過程で従業員の給料水準が引き下げられることもしばしば起きます。

こうして株主にとって(都合の)良い会社に強制変革させられたのちに、また売りに出されることになります。

 

■まとめ

この記事では、「従業員にとって良い会社の見分け方」と題して、

・利益を生み出し続ける力があるか

・従業員や労働者に意識が向いた会社か

という2つの視点での測り方をざっくりとお伝えしました。

 

良い企業かどうかの定規はとても奥が深いため、各論については改めて整理していけたらと思います。

 

ここまでお読みいただいてありがとうございました!

 

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