「今日の当社の株価はいくらか知ってますか?」
就活の面接で出ると言われるこの質問。
サラリーマンたるもの自社の株価くらい知っておけよ、ということなんだと思うんですが、そもそもなぜ株価を気にする必要があるんでしょうか。
その意味を知らずに株価をチェックするのは苦痛ですよね。 ただの数字ですから。
別に知らなくても生活に支障が出るわけではないけれど、知っていると勤め先や志望先のことを深く知ることができる、そんな株価について書きます。
■株価は何のために存在するのか
株価とは、ざっくり言うと会社の値段を意味します。
会社が発行している全株式(発行済株式総数)と株価を掛け合わせた数値を時価総額といいます。
値段というからには、その気になれば時価総額の分のお金を用意したら、会社を買うことができるわけです。 (実際の企業買収には全部の株式は必要ないです)
値段がつくといいことがありますよね。
お金に交換できますから。
例えばヤフーオークションでは、自分が出品者として色々なものを売りに出すことができますよね。
新しいゲーム機を買ったとします。 もし買って自分に合わないなら、 みんながこれくらいなら買ってもいいというところで入札してくれ、お金に変えることができます。
ヤフーオークションでなくても、中古ショップでも、ある程度の値段で買い取ってくれます。
もしこのような仕組みがなければ、自分で使い潰すか、価値を分かってくれる人と話をつけないといけません。
上場をするということは株式に明瞭な値段が付くということを意味し、値段がつけば他の欲しい人に売りやすくなる(買いたい人は買いやすくなる)わけです。
こうしたモノにはメーカーが付けた定価があって分かりやすいんですが、会社には定価がありません。
問題は会社の値段がどのようにつけられているのか、というところです。 株価=会社の値段のつき方を捉えることこそがとても大事なのです。
■株価から何が分かるのか
先に答えを言ってしまうと、 会社の値段=時価総額、ざっくりの企業価値は以下のような考えで導き出されているとされています。
将来予想キャッシュフローの割引現在価値 この一文が意味するところをざっくりいうと、
企業が将来生み出せるお金を足し上げよう! (将来予想キャッシュフロー)
でも将来得られるお金は不確実だから、その分を割り引いて価値にしておこう! (割引現在価値)
という考えです。 この考えに基づいて、企業の価値が算出され、それを株式総数で割って株価になっているのです。
つまり、株価とは 企業の収益力に対する期待 もしくは 企業の将来に対するなんらかの不安 という株主・投資家の思惑の結果とも言えるわけです。
■株価指標の使い方
企業の将来の稼ぎへの期待、 企業の将来に対する不安、 どっちも就職活動における関心事と思いませんか?
この2つについて企業評価のプロたちが考え抜いた思惑の結果が株価なのです。
株価についてウオッチしない手はありません。
問題はその見方です。
あまり難しいものでは使いづらいので、2つだけお伝えします。
PER(株価収益率)
1つ目がPER(株価収益率)です。
株価 ÷ 一株当たり当期純利益(EPS)で算出することができます。
これは、株価が1株当たりの利益の何倍分として評価されているのか、を示しています。
この倍数が高ければ、将来の利益成長性もしくは持続性を株式市場が評価していることを意味します。
例えば当期業績の利益水準が良かったのにも関わらず株価に反映されないケースの場合、「好業績は一過性で今後も期待するのはどうか」という市場の思惑がPERの低さに表れるという見方もできるわけです。
PBR(株価純資産倍率)
もう一つがPBR(株価純資産倍率)です。
株価÷一株当たり純資産(BPS)で算出します。
純資産とは、企業が持つさまざまな資産のうち、株主が企業に預けているお金とざっくり理解できます。 (非支配株主持分を除くと株主資本とも言われます、まあ便宜上同じものと考えてOK)
預けているお金ですから、例えば企業が解散した場合、この分を株主に分配することになります。 (まあ実際は少なくなりますが)
1株当たりの純資産とは、企業に預けたお金の1株当たりの取り分な訳で、株価は当然この金額よりも大きくなって然るべきなのです。
PBRが1倍だと解散時の取り分が同じを意味し、1倍より大きくなると、預けてる資産よりも高い時価が付いていることになります。
1倍を切るということは何らかの理由で「この企業は怪しい」と株式市場から思われてしまっている可能性があるわけです。
現に、「PBR1倍割れは経営者失格」とも言われます。
ただし、PBRが低く出がちな業種もある(金融や卸売業など)ため、業種間を超えた比較は要注意です。
株価が百戦錬磨の株式プロによる将来評価の結果!と聞いたらワクワクしませんか?
私が就職活動していた頃は株価に対してあまりに無知でした。 (ちゃんと勉強しないとダメですねえ)
ぜひみなさんには就職活動での企業研究の武器として使いこなしてほしいものです。